こどもをもつがん患者でつながろう

Larsen

海外 / 子宮体がん(子宮内膜がん) / 寛解

2021-08-22 17:06:12

好きな言葉

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ひとりごと

本を読むのが大好きです。結構手当たり次第読みます。
じっくりと読みます。
そして心に響く言葉を書き留めていきます。

好きな言葉達は心がぽっかりと穴が空いたとき読み返して自分の気持ちにたねを巻きます。

うつくしいものの話をしよう。
いつからだろう。ふと気がつくと、
うつくしいということばを、ためらわず
口にすることを、誰もしなくなった。
そうしてわたしたちの会話は貧しくなった。
うつくしいものをうつくしいと言おう。



風の匂いはうつくしいと。渓谷の
石を伝わってゆく流れはうつくしいと。
午後の草に落ちている雲の影はうつくしいと。
遠くの低い山並みの静けさはうつくしいと。
きらめく川辺の光りはうつくしいと。
おおきな樹のある街の通りはうつくしいと。
行き交いの、なにげない挨拶はうつくしいと。
花々があって、奥行きのある路地はうつくしいと。
雨の日の、家々の屋根の色はうつくしいと。
太い枝を空いっぱいにひろげる
晩秋の古寺の、大銀杏はうつくしいと。
冬がくるまえの、曇り日の、
南天の、小さな朱い実はうつくしいと。
コムラサキの、実のむらさきはうつくしいと。
過ぎてゆく季節はうつくしいと。
きれいに老いてゆく人の姿はうつくしいと。



一体、ニュースとよばれる日々の破片が、
わたしたちの歴史と言うようなものだろうか。
あざやかな毎日こそ、わたしたちの価値だ。
うつくしいものをうつくしいと言おう。
幼い猫とあそぶ一刻はうつくしいと。
シュロの枝を燃やして、灰にして、撒く。
何ひとつ永遠なんてなく、いつか
すべて塵にかえるのだから、世界はうつくしいと。

  


 「世界はうつくしいと」 より
長田 弘(おさだ ひろし)

  • ellie

    Larsenさんこんにちは。
    私も本を読むのが大好きです。でもがんになってまったく本が読めなくなった時期があって、ものすごく焦ったり悲しかったりしました。「世界はうつくしいと」はそんな時手にとりました。本の装丁の佇まいもしっくりときてなかなか読めずとも側において少しずつ噛みしめるように読んだ大切な本なので、なんだか嬉しくてメッセージさせていただきました。
    1つ前の日記にもとても共感しました。
    若松英輔さんの「悲しみの秘義」をご存知でしょうか?私はこの本を読んで自分のかなしみを愛おしく感じました。
    「アフリカの日々」もいいですね。Larsenさんと本の話いろいろしたいなぁなんて思いました。
    またぜひご紹介くださいね。

    2021-08-26 11:40:55

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    • Larsen

      こちらこそこんにちは?
      今は携帯で本が読める時代ですが、本をめくる時のドキドキ感や紙の質感を楽しむために「本」にこだわり続けている頑固ものです。
      本良いですよね!言葉が与えてくれる力は素晴らしいものです。人間だけが唯一持つコミニケーションのツールなのでじっくりと楽しみたいと思います。

      若松英輔さん❤️
      大ファンです。彼の本たぶん全部持っているんではないかと思います。

      パートナーを失ったあと上記の本にどれだけ救われたことか。

      若松さんの謙虚な姿勢をとうして生きることの素晴らしさを学ばさせてもらっています。

      また本紹介しますね。

      2021-08-28 23:30:34

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