2018-09-04 08:02:31
ママ、ハゲがバレちゃう!―わたしの脱毛録―
日記
暗くなってからベランダでバスタオルを干していると、3歳♂が階段をフーハーフーハーあがってきました。
「ママ、おぼうしもお洗濯した?乾いてる?」
と。なんだかあわてている…
よくよく聞いてみると、結論的には、
「そのまんまお外でたら、ママ、ハゲがバレちゃう!」
とのことでした(笑)
心配してくれてありがとう!
抗がん剤を選ぶとき、主治医から
「(この薬は)毛という毛が全部抜けます!」
と言われました。
「ハイ!だいじょぶです!」
とは言えなくて、そう心から思えるまでに数日かかりました。
3歳♂のことが心配だったからです。
彼は赤ちゃんのときから、わたしの髪をいじりながら眠りにつく癖がありました。
ここ1年ほどはさらに、「ヘビ?」「ヘビじゃないゎ!」「ヘビ女?」「ヘビ女じゃないゎ!」(春菜さんのステラおばさんじゃないゎ!風に)とわたしと言い合いながらその声がだんだん遠のいて入眠、というおまけつきでしたから…
抗がん剤を始める前日、夫に頼んで3歳♂を散髪に連れて行ってもらいました。
同時にわたしもほかの千円カット店にとびこみ、肩下のセミロングを
「全ての髪2-3センチにしてください!」
と告げました。
初対面のお姉さんは静かに、ご自身のいとこが抗がん剤で脱毛する前にカットしてあげたという話をしながら切り始めました。
わたしに何の質問もしないまま、できあがったのはガッキー風ショート。
「もし抗がん剤ならですけど、抜け始めるまでに2-3週間あります。その間のワンクッションを楽しんでほしい。上は長めですけど、内側はだいぶ短くしてかぶせてあるので、抜けてもホラーのようには散らばりません」。
期せずしてわたしはまた人に恵まれたなぁ…と感謝感謝でした。
事情を全て話してからお礼を言って帰宅し、彼の帰りを待ちました。
「見て見て~!ママもおなじ頭にしてきた!おそろいだよ~!」
と出迎え、だからもうヘビ女はできない、ということを、極力軽く何度も口にしました。
その後3晩は本当にせつなかった。
両手をつないでも「ヘビ女がしたいのにぃ…」と小さい声でつぶやく。
泣いたり荒れたりせず、悲しそうな声でつぶやく…
でもつぶやきが減っていくことに反比例させて、じゃれあいながらの説明を増やしました。
「ママはポンポン痛い病気でしょ。お薬が、ポンポン治すついでに、なんと!髪の毛とっちゃうんだってさ~
だけどね、目はとれないよー耳もとれないよー鼻も口もほっぺもとれないよー(←眉毛睫毛はとれるから絶対触れず(笑))
だから心配しないでねっ!」
と。
そのうち、わたしより先に「とれないよー」のクダリを言うようになり、難なく入眠できるようになりました。
不織布の脱毛期用つかいすて帽子をかぶってしまったことも、諦めをつけるのによかったかもしれません。
寝具についた抜け毛をとる用にコロコロを購入し、それも彼の仕事となりました。
脱毛が一気に増加してきたと感じてからは数日間洗髪せず。
時間のある日曜昼間にレジ袋を持ってシャワーに入り、一気に流して。
いっしょに見て、すっごいねー!と笑い合いました。
あとから黙って排水口を掃除する夫の背中だけがちょっと寂しかったけれど、3歳♂ケアは概ねよい流れで楽しめたかな…と思いました。
ただ。
美容師さんが残してくれた長めの頭頂部が、抜けきれずに絡まり合い、見事なちょんまげになってしまって…
スクール水着のような紺色ケア帽子がもっこり……
夫と9歳♀からえらく笑われる羽目にorz
そしてその後、はや2ヶ月が経ちます。
が。
髪、微妙に残ったままなのです…
(あ。ちょんまげは数回に分けて地道にほぐし、もうないです)
化学療法室の看護師さんに、いつになったらツルツルになれますか?と聞いてみました。すると、
「あー残っちゃった?個人差があるのよ~ここまでだね~」
とのことorz
俗にいう「ひな鳥」の、半分の半分の半分くらいですよ。
地肌のほうが断然多いですよ。
でももう引っ張っても抜けない…
アトピーで皮膚弱いから、剃るのも怖い…
そして昨日。
肩をもんでくれていた18歳♂が言いました。
「ママ、髪ハンパに増えてね?」。
合わせ鏡をしてみました。
ううん、増えてないよ。これは伸びてきたんだよ…
寝癖がつくようになり、3歳♂はおもしろがって櫛でガリっととかしてくれます。
わずかに残された毛根たちは、何をめざしているのでしょう。
連休には、学生時代の友達が女子会をしてくれます。
わたしが疲れたらいつでも横になれるようにと、みんなで喋れる広さのホテルをとってくれました。
ケア帽子がとれたらと思うと、うかつに眠れないじゃないか。いっそ尼僧のようなら堂々と披露するつもりだったのに。
ハゲ(微妙な)がバレちゃう!
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