2019-02-16 09:43:39
池江璃花子選手の白血病公表に寄せて
日記
ブログ記事『池江璃花子選手の白血病公表に寄せて』を書きました。よろしければご一読ください。
https://ameblo.jp/hanaki-yuusuke/entry-12440452922.html
(以下、本文転載)
こんにちは、がんチャレンジャーの花木裕介です。
水泳の池江璃花子選手の白血病公表の報道に驚かれた方も多いことと思います。
血液のがんではありませんが、私も近い経験をした身として、彼女の気持ちが少しは分かるような気がしています。
何が分かるのか。今回は個人的な意見として書かせてください。
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前回のリオオリンピックに出場し、来年の東京オリンピックでも大きな期待を寄せられていた池江選手。
その前年である2019年に病気が判明したということはとても残念なことだと思うし、本人の気持ちを思うと言葉も出ない。
もちろん、これから治療をすれば出場することは不可能ではないかもしれないが、抗がん剤などの副作用を知る身としては、たとえ個人差はあれ、完全に復調するまでには相当困難な道のりが待っていると思う。
水泳、特に女子選手は、成長バランスなどから、かなり若い時期にピークを迎えると聞いたことがある。
バルセロナオリンピックで、中学2年生だった岩崎恭子さんが金メダルを獲得したが、そこが岩崎さんのピークだったことも、この説の根拠の一つとなるだろう。
池江選手にとって東京オリンピックは、4年に1度の機会というだけでなく、競技人生のピークの大会でもあったであろうことを考えると、胸が痛む。
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でも、池江選手は、自らtwitterで病気を公表し、前を向いて治療に取り組んでいる。
この勇気は本当にすごいと思う。
私のような一般人ですら、病気公表は重大な決断だったし、多くの方は応援してくれたが、一方それによる波紋も呼んだ。
それが、わずか18歳の、しかも世界的な知名度を持つ選手が公表を決断したのだ。
そこに、治療へ向かう強い気持ちを感じたし、その強い気持ちこそが、必ずや回復に向けたエネルギーとなるはずだ。
◆
最後に一つ。彼女の親族が発したというコメントに触れておきたい。
「水泳なんてやんなくていいから、とにかく長生きして」
そんなコメントをメディアに対してされたと読んだ。
このコメントを読んで、自分自身のがん宣告後の両親の言葉が蘇った。
「出版とか復興支援とか、そんなのはどうでもいいから、とにかく今は体を治しなさい」と。
私自身、2児の父だから、両親の私を思う気持ちは痛いほど分かる。そこまで言ってもらえるのも子どもとしては本当にありがたいことだ。
でも、ちょっと考えてみてほしい。
「そんなこと」「そんなもの」に私たちは「時間」という命の一部を懸けて取り組んでいる。
仕事もそう。限りある時間を使ってみんな取り組んでいる。
ただ生き延びればいいというもんじゃない、と私は思う。
それらは、「過去の命」なのだ。
特に18年間のほとんどを練習などにあててきたであろう池江選手にとっては、水泳は「過去の命そのもの」なのではないだろうか。
誤解を恐れず書いているが、私は親族の言葉の揚げ足をとって否定する気は全くない。メディアに対して実際にどう伝えたのかは定かではないし、親族の気持ちは痛いほど分かるから。
だけど、水泳は「なんて」なんかじゃ決してない。
私は池江選手に、「また命懸けで水泳する姿を見せてほしい。そのためにも必ず生きて帰ってきてほしい」と伝えたい。親族の本心もきっと同じだと思う。
私自身も、救われた命に感謝をしながら、本業はもちろん、出版や復興応援活動、さらには講演活動をこれからも限られた命を使いながら取り組んでいく。
それらの活動を、今、私の両親は、遠い故郷から精いっぱい応援してくれている。
◆
池江選手のご回復、そして復帰を心からお祈りしています。
(了)
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