こどもをもつがん患者でつながろう

りん

千葉県 / 肺がん / ステージ4

2020-02-28 06:34:59

「がん教育」 初授業報告

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日記

県立の特別支援学校で教員をしています、肺がん(肺腺癌 ステージ4)患者のりんです。

昨日 はなをさんが、日記を書いてらっしゃいました通り、来年度(4月~)小学校で、その後、中学校、高等学校でも「がん教育」を行うこととなっています。前倒しでもう行っている地区や学校もありますが、全国で一斉に必ずやりましょう!となるのはこの春からです。

先週、自分の勤務校で高等部3年生に対して授業の機会を頂きました。
特別支援学校と言っても、聾学校(聴覚特別支援学校)で、生徒たちは大学に進学する子、専攻科に進学する子、社会人として働く子達で、よく考えながら授業に参加してくれました。

学年主任の先生から「命の授業」としてやってほしいと言われ、目標は高等部なので「がんについて正しく理解すること」、「がんを通して、健康管理や命の大切さについて主体的に考えることができるようにすること」に置きました。

前半はがんの基礎知識を○×クイズと説明でおさえ、後半はがん患者(私)の話をきき、まとめとして、自分や自分の大切な人をがんで亡くないためにできることはなんだろう(早期に見つければ治る可能性が高くなってきていることから検診のこと、完全には難しいが、中には予防できたり、リスクを下げたりすることができるものもあること、等)を考えて、感想を書いてもらって終了。50分間ではここまででした。

後半から真剣な表情でよく話をきいて、がん患者の話として私が話すことに驚き泣いてしまった子もいたけれど、感想用紙に感想と質問をびっちり書いてくれました。煙草は、いろいろながんの原因になるという話があったことと、成人を前にして煙草(喫煙・受動喫煙)とか飲酒(大量の飲酒)とかという言葉に反応が大きかったです。
「勇気を出してお父さんに煙草をやめてほしいって言ってみます」「お母さんは検診をうけているのか心配になった、帰ったら聞いてみる」「成人になっても煙草はすわないようにする」「どうしたらがんの人の力になれるのか知りたい。力になりたい。」、他、命のことに関して思春期らしい悩みや、きちんと向き合っていきたいという思いとか…。生徒や、授業の依頼をしてきてくださった先生方の様子から、まだまだ未熟な出来だったと思いますが、やってよかったと思うことができました。今後も、「がん教育」に積極的にかかわっていきたいです。

授業者として感じたことは、大人の難しさでした。がんに関しては古い情報や誤った情報もあるよ、正しい知識を知ろうねという趣旨で、取り掛かりとして重たくなりすぎないように○×クイズ+説明というところから入りました。色々な問題があったのですが、例えば「楽観的な人はがんにならない。」というような問題も入れてあったのです。答えは「×」です。説明としては「それは関係がありません。」。生徒たちは「性格のせいでがんになるとかはないんだねー」という反応。数人見学で入っていた教員から授業後に、これはちがうんじゃない、楽観的な人はがんにならないよね、と言われました。説明しても、相手が譲らないので、つい「エビデンスがないんですよ。」とか言ってしまいました?「へっ?」という表情をされたので、「私の周りには楽観的でがんになった方もいますよ。」「先生方が個人的にそう(楽観的な人はがんにならない)思っていて、楽観的でいようと思っているのは構いません。でも、それを声に出しておしゃべりすることで、がん患者さんを『あなたは楽観的でないからがんになったのよ。自己責任よ。あなたのせいよ。』と傷つけることになってしまいます。子どもたちにそういうことを言わせたくないんです。」と説明したものの、最後まで二人で顔を見合わせて「でもねぇ、そういうよねぇ。ずっとそう思ってきたし…。」「私の知り合いでステージ4(がんの種類はわからないそう。がんの種類もいろいろですよ。ステージ4でも予後の良いがんもあるけど、それはそれで再発の不安と生きていくことがあったりで、大変なんですよ。…と言ったのですが)でも治った人がいるわよ。すごい前向きな人なんだよね。村上さんもステージ4かもしれないけどさ、明るくいなきゃだめよ。」と言いながら教室を出ていかれました。悪気がないんですよ。私に対してすでに傷つける発言をしているということにも気が付いていなかったようです…。

これからの子どもたちには、がんになった人にこんな言葉をかけないように育ってほしい。
「がん教育」を通して育てる!

  • おすぎ

    初めまして。
    投稿内容を偶然読ませていただき、あまりに驚いたのでコメせずにいられませんでした。

    医療が発達したこの現在に、教育現場ですら
    「楽観的な人はがんにならない」
    なんて本気で信じてる人がいることに驚きました。
    さぞ嫌な思いをされたかと思います。

    私も小学1年生の娘がおり、ちょうど昨日、担任の先生に時間をと取っていただき、これからの私の日程と病気を娘に話した事、これから娘にどんな反応が出るか心配なので見守ってほしいとお話してきました。
    同じ女性というのもあり、理解のある先生だったので安心することができました。

    学校で「がん教育」が始まることは全く知らなかったのですが、
    自分が学校側に話をしたことで、娘の小学校でも正しい「がん教育」が行われるきっかけになってくれたらと思いました。

    2020-02-28 06:52:03

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    • りん

      おすぎさん
      コメントありがとうございます。とっても遅いリアクションでごめんなさい?

      学校現場の教員にも必要なんですよ「がん教育」?
      同僚として、そこは情けない気持ちになりました。良い人なんですけどね。

      おすぎさんがお話に行かれたことで、現場の理解が少しずつ深まっていくのだと思います。
      年度替わりに、担任の先生が変わられるかは分かりませんが、もし変わられたら、再度お話に行かれることをお勧めします。もちろん、今年度の担任の先生から引き継ぎはされますが、また聞きで受ける印象が変わることもあり得ます。善意のつもりで今年度の担任の先生のフィルターがかかる場合もあります。娘さんの最近の様子から、新たに心掛けてほしいと願うことも出てくるかもしれません。おすぎさんの体調とご都合との相談になると思いますが、できましたら。新型コロナウイルス、落ち着いてくれて、娘さんがお友達と一緒に集まれる始業式を迎えられることを願っています。

      2020-03-18 05:58:51

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  • とっしー

    りんさん、授業お疲れ様でした。

    私は茨城で外部講師としてがん教育のお手伝いを3年前からしており、今年度は患者会として50校、私自身20校以上お邪魔してお話しさせていただきました。
    常々りんさんと同じ思いを感じております。

    子供達は純粋です。乾いたスポンジが水を吸うが如く知識を吸収していきます。教えたことは正確に理解し、人に伝える能力も高いです。
    それに引き換え大人ときたら(笑)
    古い価値観に固定され、ネットの情報に簡単に振り回される。ポジティブな話よりネガティブな話が大好き。

    私は授業を行う際には極力保護者の参加を呼び掛けるよう学校にお願いします。それでも参加率は決して高くはありませんけどね。
    そして子供を持つサバイバーが多いことや、もし自分の身の回りの大人ががんになったら何ができるか考えてもらうようにしております。そして大人達にはがんになったら子供達に何ができるか考えてもらう。(「ママのバレッタ」の宣伝有り(笑))
    「がん」というツールで親子の会話ができればこんなに嬉しいことはありません。

    本当に「がん教育」が必要なのは「大人」であると思います。

    2020-02-28 12:27:53

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    • りん

      とっしーさん
      コメントありがとうございます。

      外部講師の先輩を見つけた!という嬉しさで一杯です。
      つながり申請もさせていただいたので、こちらで書かなくてもという風に感じられるかもしれませんが、他の方にも見て頂けると嬉しい情報を入れているので、こちらで?

      先日、『全がん連のがん教育外部講師eーラーニング』を受講し、無事修了できました。
      修了者のリストが発表になり、自分の名前を千葉県のところに確認しつつ、
      茨城県の修了者のところに、これはとっしーさんがかかわっている患者会では?と思う名称を発見し、茨城県は先を行っているなぁと思いました。年度が変わって、新型コロナウイルス問題が落ち着きましたら、そして可能であれば、茨城県に授業の見学に伺いたいです。

      がん教育に興味のある皆さま、上記『』の講座は受講無料で、基本的なことを学ぶにはとても良いものです。医療関係者向けと、患者・家族向けがあります。ご興味がありましたら、「全がん連」で検索なさってみてください。

      2020-03-18 06:12:37

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      • とっしー

        りんさん、見つけてしまいましたね(笑)

        正解です。
        私の所属する患者団体は「全がん連」には所属しておりませんが、eラーニングを作るにあたり、茨城の情報を色々提供させていただきました。だから1%くらいは作成にあたり協力していると勝手に思ってます(笑)

        茨城は来年度も引き続き文科省から補助をいただきながら、がん教育を進めていくことが内定しました。
        お隣同士だし、是非是非見に来てください。
        もしご都合よろしければ患者会で「がん教育」研鑽のため模擬発表などもやっていますので、是非お越しください!

        2020-03-18 06:36:23

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  • はなを

    早速、現場の声が聞けて嬉しいです。
    りんさん、トッシーさん、ありがとうございます。

    祖母の膵臓がん、姉の乳がんなど、身内のがんを経験して来たのに、自分が当事者になった時、ホントに何も知らなかったんですよね…。

    小学生のこどもには話せるだけ話していて、
    昨夜はお風呂で
    「がんてどうやってできるんだっけ?」と
    会話しました。
    半分くらい正解(о´∀`о)
    発覚前には考えられないことです。
    「がん」がツールになってました、いつの間にか!

    これからはこどもからおとなが学ぶようになるかも知れませんね。
    保護者の参加、ぜひしたいです。

    2020-02-28 13:18:28

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  • まゆみ

    はじめまして
    小学校教員です
    昨年夏に夫を肺癌で亡くしました

    気持ちの整理がつけばいつかクラスの子供達に
    がんのこと、命のことを 
    話したいと思っていました
    がん教育というより、命の授業かな

    死別後、辛さと無気力感で
    とてもとても命のことを話すような
    気持ちにはなれませんでしたが
    少しだけ気持ちが上向きになり
    六年生担任なので卒業までに
    命のこと、夫を通して感じたことを
    授業しようと思ってました
    (3月、六年生国語には、日野原さんの書かれた命に関する教材文、道徳には命の繋がりに関する教材が出てくるので)

    ですが、コロナのこの事態で
    突然の休校
    授業どころではなくなりました

    来週、卒業式です
    式もその後の学活も短縮の形となりましたが、卒業式ができるだけでも
    ありがたいのかもしれません

    式後の学活、そこで子供達に命のことを話そうと思います
    がんのことではなく、命のつながりから
    これからのことについて

    りんさんの発信は
    先々、いつか私がクラスでがんのことを話して行こうとする時に
    とても参考になるものでした
    ありがとうございました

    がんについて
    科学的な認識も必要ですね
    前向きな姿勢や言葉は大切
    心と体はつながってるから
    でも、前向きさがなかったからあなたは
    がんになったのよ
    は、とてもとても違う

    私は前向きさが夫の延命につながったと
    思っていますが
    子供達に暗に伝えてしまう逆のメッセージに
    気をつけなければと思いました

    それに、死別後も含めて
    気持ちがどん底の時には
    ポジティブな言葉や行動事態が苦痛な時も
    あり、周りのそんな言葉が逆に追い詰めるときもありますしね

    長々とすみません

    りんさんの授業、貴重です
    がんで父親を亡くした我が子のためにも
    そのような授業必要です

    貴重な発信ありがとうございました

    2020-03-14 02:09:52

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    • りん

      まゆみさん、
      コメントありがとうございます。大変遅いリアクションで、すみません?

      勝手にとても親近感を覚えております。
      まゆみさんが行う、命の授業や、子どもたちへ贈るメッセージは、しっかり子どもたちの心に届くものになると思います。

      とっしーさんのところに載せましたが、がん教育にあたって、気を付けたいことや基本的なことを学べるものがあります。心の整理がつきましたら、受講をお勧めしたいです。子どもたちに命の授業、がん教育をと動くお仲間になってくださったら嬉しいです。

      患者本人が1番辛いんだから…という方々もいますが、ご家族の方も辛いと思います。いや、辛さが長く続いて、振り返っては悩んで、ご家族の方が大変なのではと思います。

      応援しています。コメント、本当にありがとうございました。

      2020-03-18 08:05:01

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