2020-03-26 13:08:09
術後のキヲク
日記
①全身麻酔手術=寝ているうちに終わる簡単なもの
②舌が1/3なくなるだけ、術後さほど大きな影響はない
この安直な想定は実体とは全く異なるものであったことを最初に述べておく
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目を覚ますと手術室からICUに移される途中だった。
何人もの医師に取り囲まれ、ストレッチャーが動き、めまぐるしく天井の景色が流れていく。
私はすぐに首元を触る。
首のリンパ節に転移があったかどうかで
リンパ郭清手術の範囲が広がると言われていたからだ。
結果全くの思い違いではあったが
肩の付け根までの首の広範囲を切ってあった気がした。
声にならない声でストレッチャーを押しているガタイの良い男性に話しかけようとする。
転移があるとないとでは予後に大きな影響を与えることは事前にネットで得た知識だ。
私が首を触りながら、顔を向け声を上げたかどうかのタイミングで
「耳鼻科の先生から説明を受けてくださいね」
麻酔科医なのだろう、一言で片付けられる。
次の手術も控えているのだろう
首や胸回りに10本近い線をつながれたまま
ICUの個室に到着し
まず最初に猛烈な吐き気と尿意に襲われる。
「気持ち悪い、吐きそう」
の私のささやきにナースが慌てて準備した洗面器。
おおよそコップ一杯分の血を吐く。
いつのまにか横にいた嫁と母と伯母が悲鳴にも似た声を上げる
口をゆすぎたいが術後48時間は水分も含め服用は一切禁止
なくなくとあきらめる。
「あぁ、結構飲み込んでたな」
執刀医でさえ驚きのコメントを発した。
そしてまた吐き気。真っ黒に近い痰が大量に飛び出す。
それもそのはず1週前から少しキツめの風邪状態の中、
それでも待てないと手術を受けた
普通なら手術を延期するレベルだと。
でも担当医はgoサインを出してくれた。
次は尿意、なにかを訴えるのも一苦労、
先生の話しかけにも応答する気力はない。
ものすごくタイプの美人ナースがし尿瓶を持ってきてくれる。
すぐに周りの観衆は退出してくれたが、
もはや羞恥心を考慮する余裕すらなく、
みんながいる前でも構わないと思った。
寝ながらの排尿は初体験。
要を足そうとすると、抜かれた尿道カテーテルの影響か、激痛が走る。
また多少血も混ざっている。
これくらいは仕方ない。
そう自分に言い聞かせる。
小水を終えると担当医が入ってくる
「お疲れ様でした、多分ガン自体は取り切れたよ」
いつもの通り明るくそれでいてわかりやすい。
「取ったガン見てみる?」
なんだそのサービス。。。
それは確かに好奇心はある、ただこの現状、
自分自身を数ケ月精神的にも追い詰めていた敵と対峙できる余裕はなかった。
私は大きく首を横に振る。
「最大辺1.5cm、厚さは0.5cm。ステージ1のサイズだと思う。また、見たくなったらいつでも言ってね。」
執刀医はまるで自分好みのどんぐりをみつけた子どものように、
生き生きと嬉しそうに話していた。
「あの、転移は?」
私が力を振り絞って最大の恐怖と戦う。
「なかった。左首の影はリンパのはただの腫れだった」
それを聞き、昨晩一睡も出来なかった私は安心して眠りについた。
2017年4月12日。
8時に手術室に入ってから、7時間後の15時頃の出来事である。
ありがとう!をしている会員
にゃん
腫瘍がリンパに行ってなくて良かったですね。
それより、文章がとても上手ですね!臨場感にあふれています!!お見事!
2020-03-26 17:34:07
しゃけとら
ありがとうございます。
3年経過したので備忘も含めて書いてます
2020-03-26 21:03:33
ひでよしまさ
しゃけとらさん
こんにちは
転移無くてよかったですね
自分の手術後を思い出しました
①全身麻酔手術=寝ているうちに終わる簡単なもの
②舌が1/3なくなるだけ、術後さほど大きな影響はない
癌の場所は違えども同じようなこと言われました
2020-03-26 18:26:24
しゃけとら
ありがとうございます。
たいしたことないだろと思ってたら思いの外キツかったですね。
2020-03-26 21:04:41