こどもをもつがん患者でつながろう

しゃけとら

東京都 / 舌がん / ステージ1

2023-01-27 11:00:02

自由までの軌跡

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日記

喉元過ぎれば暑さも忘れる。
現在の感染症も年老いたときにそういえばそんな時期もあったなぁと、懐かしむこと時が来るはずだ。
私は自身で体験したのだから

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2017年4月16日日曜日

朝食が重湯から三分粥に変わる。
お椀の中所々米粒が見えた。
こうして各患者に合わせた食事を1日3回毎食作る病院の関係者に深く感謝したい。
入院患者は何百人もいる。
食事に休日はない。
高血圧、高脂血症、糖尿病…
各患者の病状に合わせた料理を把握して作ることは決して容易ではないはずだ。


朝食後、診察室に呼ばれ2本入れられていたドレーンの1本を抜いた。
これは大きな変化だった。
少しだけ身軽になれた気がする。
もう一本はいつ抜けるんですかと尋ねる。
「排出物が10ml切ったらだよ」
ここからドレーンの管の先にあるパックをみては一喜一憂する日々が始まるのである。

ここまでくるとさすがに体臭と口臭が気になってきた。
もう6日も風呂に入ってないし、歯も磨いてない。
災害が発生したらこんな感じなんだろうなと思う。

「1週間も仕事休んで入院できるなんてうらやましい。読みたい本読んで、疲れをとるチャンスじゃん!」
嫁が切迫早産で入院したときに私が放った言葉である。
先行きが見えない入院を楽しむ余裕なんてどこにもないことがよくわかった。

昼を過ぎると嫁が病室にやってくる。
ただただお互いに病室で本を読んで過ごした。
嫁はその場にいるだけで気持ちが和らいだ。

翌月曜。
食事を終えると抜糸するからと診察室に呼ばれた。
抜糸を終えると洗髪の許可が出た。
ナースに頼んで洗髪してもらう、まるで美容院にでもきたかのようだ。
私は臭いが気になるので3回洗って欲しいと頼む。
ナースは別に気にはなりませんよ、
と言いながら注文通りに3回洗ってくれた。
洗髪を担当してくれたナースは私の見立てでは師長に次ぐ地位の人。
お子さんは中学に入りリトルシニアに所属しているらしい。
僕も野球をしていたので非常に話が盛り上がった。

部屋に戻りその勢いで歯を磨く。
歯を磨き始め病室の入り口に目をやるとまるでドラマのように担当女医が腕組みして、
壁にもたれかかりこちらを見ていた。

「手術後の病変の検査結果がでたよ。
 ガンは全て取り切れた。あとは再発と転移と戦おう」
それはわかった、ただ予後の見通しを教えて欲しかった。
どこでどんなリスクがあり、どんな治療をしていくのか。
ぐっと堪え、ありがとうございますと答えた。

その日の夜、メンタル面で様子を心配してくれた、師長さんが部屋に来てくれた。
ほとんどたわいもない世間話と、
ガン相談窓口があるよと教えてもらっただけ。
今となってはクリアできた課題だが、
・ローンは組めるのか
・転移はどれくらい起きるのか
私が考えていた、今後の障壁となりそうな課題に対する過去の患者さんの例としての回答が欲しかった。


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